建設業界は年齢制限がある?年齢に関する決まりや高齢労働者の現状を解説

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建設業界は年齢制限がある?年齢に関する決まりや高齢労働者の現状を解説建設業界は年齢制限がある?年齢に関する決まりや高齢労働者の現状を解説

建設業界で働きたいと考える際、「年齢の制限はあるのだろうか」と疑問に思う方は少なくありません。体力や安全面への不安を感じる一方で、経験が重視される職種でもあります。

今回は、法律上の年齢制限や高齢労働者の現状、そして年齢を重ねてから建設業界で活躍するためのポイントについて詳しく解説します。

目次

  1. 1. 建設業界の就業における年齢制限
  2. 2. 建設業界の年齢にまつわる配慮義務と取り組み
  3. 3. 建設業界の高齢労働者の現状
  4. 4. 高齢労働者が建設業界での転職を成功させるポイント
  5. 5. まとめ

1.建設業界の就業における年齢制限

建設業界で働く際に、年齢制限があるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、法律上の規定や実際の現場での考え方について解説します。

建設業界の就業における年齢制限

年齢の下限には規定があるが、上限は定められていない

建設業では、労働基準法および年少者労働基準規則により、18歳未満の年少者は高所作業などの危険を伴う業務に就くことが制限されていますが、年齢の上限は特に設けられていません。

体力や安全面への配慮は必要ですが、経験と技術が重視される業界のため、健康であれば中高年でも活躍の機会は十分にあります。熟練の知識や技能を求める現場では、むしろ年齢を重ねた職人が頼りにされることも多いのです。

2.建設業界の年齢にまつわる配慮義務と取り組み

建設業界では、年齢に応じた安全確保と働きやすい環境づくりが求められています。特に中高年の労働者が増える中で、体力や健康状態に配慮した就労管理や教育体制が重要視されています。

ここでは、年齢に関わる法的な配慮義務や、現場で進む取り組みについてみていきます。

建設業界の年齢にまつわる配慮義務と取り組み

中高年齢者等についての配慮

建設現場では、高所作業などの危険を伴う作業に年齢制限が設けられています。例えば、年少者労働基準規則第8条では、高所作業(おおむね5メートル以上)を18歳未満に行わせてはならないと定めています。一方で、上限年齢に関する法的な制限は存在しません。

ただし、労働安全衛生法により、事業者には労働災害防止のため中高年労働者への配慮が義務付けられています。体力や反応速度の低下など加齢による変化を踏まえ、企業によっては自主的に高所作業への年齢制限を設けるケースもあります。

こうした取り組みは本人の安全確保だけでなく、現場全体の事故防止にもつながっています。

高齢労働者への特別教育

高齢労働者が安心して働けるよう、特別教育を実施する企業も増えています。この教育では、安全帯や保護具の正しい使用方法、加齢による体調変化への理解を深める内容が中心です。

特に、疲労回復の遅れや注意力の低下といったリスクを踏まえ、事故を未然に防ぐための行動指針を共有することが目的です。また、教育を受講していない場合には現場入場を制限する企業もあり、安全意識の底上げが進んでいます。

こうした取り組みは高齢労働者の就労継続と安全管理の両立に欠かせません。

高齢者就労報告書の提出

高齢者就労報告書(または高年齢者作業申告書)は、企業が自社責任で高齢作業員を就労させる際に作成する書類です。安全書類(グリーンファイル)のひとつとして扱われ、高齢労働者の氏名、年齢、生年月日、職種、現場での役割などを記載します。

この書類では、危険有害業務への就労を避け、やむを得ず就労させる場合には職長の監督下で安全措置を講じることを誓約します。法的な提出義務はありませんが、労働災害防止や高齢労働者への配慮の一環として、多くの企業が自主的に提出を求めています。

こうした取り組みは建設業界全体の安全意識向上と、すべての年齢層が安心して働ける環境づくりにつながっています。

3.建設業界の高齢労働者の現状

建設業界では、少子高齢化の影響を強く受けており、労働力の中心が中高年へと移行しています。若年層の入職者が減少する一方で、経験豊富な高齢労働者の就労継続が業界を支えているのが現状です。しかし、高齢化が進む中で安全確保や健康維持といった課題も顕在化しています。

ここでは、年齢別構成や労働災害の発生状況を通じて、高齢労働者を取り巻く現状を見ていきます。

建設業界の高齢労働者の現状

年齢別構成

建設業では、全産業と比較して高齢労働者の割合が明らかに高い傾向があります。「労働力調査」によると、55歳以上の割合は35.9%(全業種31.5%)、65歳以上では16.9%(全業種13.6%)です。

建設業は他業種に比べて高齢層の労働者が多く、現場の中心的存在として重要な役割を果たしています。

一方で、体力や反応速度の低下が避けられないことから、安全管理の徹底や作業環境の改善が今後さらに求められる状況です。

出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「労働力調査

建設業界の労働災害発生状況

厚生労働省の「労働災害発生状況」によると、建設業は他の主要業種と比較して労働災害による死亡者数が多く報告されています。例えば、6年に発生した死亡災害では、建設業が全体の3割を占め、製造業や陸上貨物運送事業よりも多くなっています。

建設現場は高所作業や重量物の取り扱いなど危険を伴う作業が多く、特に高齢労働者にとっては転倒・墜落などのリスクが高まります。

そのため、現場ごとの安全管理体制の強化やリスクアセスメントの徹底が不可欠とされています。企業によっては、年齢や体力に応じた作業分担や休憩体制を導入する動きも見られます。

出典:厚生労働省「労働災害発生状況

建設業界における高齢労働者の労働災害発生状況

平成17年から平成26年の間に発生した50歳以上の死亡災害では、建設業の占める割合が42.3%(167人)と最も高くなっています。

この数字は、建設業界が他業種に比べて高年齢者の就労割合が高いこと、そして危険性の高い作業環境が依然として多いことを示しています。近年では、身体的負担を軽減するための機械化や、ヒューマンエラーを防ぐための安全教育の強化が進んでいます。

総じて、建設業界は高齢労働者の経験に支えられている一方、安全面では課題を抱えています。今後は、高年齢者の知識と技術を次世代へ継承しつつ、労働災害を防ぐための環境づくりがますます重要になると考えられます。

出典:東京労働局労働基準部「高年齢労働者の安全と健康

4. 高齢労働者が建設業界での転職を成功させるポイント

建設業界では人手不足が続く中、高齢労働者の経験や技術が注目されています。とはいえ、年齢を重ねてからの転職には、若年層とは異なる準備が必要です。

ここでは、高齢労働者が建設業界で転職を成功させるための2つのポイントを解説します。

建設業界での自分の年代のニーズを把握する

まず大切なのは、自身の年齢層にどのようなニーズがあるかを正確に理解することです。

建設業界では、豊富な実務経験や現場管理のスキルを持つ高齢労働者は重宝されます。ただし、若手よりも給与水準が高くなりやすい分、それに見合うスキルや実績をしっかりとアピールすることが大切です。

また、自分の強みと企業が求める人材像にズレがあると、なかなか理想の求人に出会えないこともあります。今の転職市場の流れを調べながら、自分の経験・資格・実績を整理してみましょう。

その上で、経歴書では技術だけでなく人柄やチームワークの良さなども伝えることがポイントです。自分の経験を「年齢のハンデ」ではなく「強み」として活かせれば、転職のチャンスは広がるでしょう。

転職サポートを活用する

転職活動に不安を感じる場合は、転職サポートの活用を検討すると良いでしょう。

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建設業界で新たなキャリアを築きたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

5. まとめ

建設業界には法的な年齢上限はなく、健康であれば中高年でも十分に活躍できる環境があります。一方で、高齢化が進む現場では安全対策や作業環境の整備がより重要になっています。経験や技術を活かしながら、自分に合った働き方を見つけ、安心して長く活躍できるキャリアを築いていきましょう。

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