

2013年に施行された改正労働契約法により、期間の定めのない雇用契約を結ぶ無期雇用派遣という働き方が注目されています。従来の一定期間の雇用契約を結ぶ有期雇用派遣とは、雇用の安定性や労働条件、キャリア形成の機会などに大きな違いがあります。
企業が人事戦略を立てる上で、これら2つの派遣形態の違いや、それぞれのメリット・デメリットを理解することは非常に重要です。
この記事では、無期雇用派遣と有期雇用派遣それぞれの特徴を解説し、企業と労働者の双方にとって最適な選択をするための一助となる情報を提供します。
目次
- 無期雇用派遣とは
- 無期雇用派遣と有期雇用派遣の違い
- 無期雇用派遣のメリット・デメリット
- 企業側のメリット:長期間就業してもらえる
- 企業側のデメリット:派遣料金が高くなる可能性がある
- 労働者側のメリット:収入が安定しスキルアップができる
- 労働者側のデメリット:自由に勤務先を選べない
- 有期雇用派遣のメリット・デメリット
- 企業側のメリット:固定費を削減できる
- 企業側のデメリット:後任探しや引き継ぎに工数がかかる
- 労働者側のメリット:希望に合わせて働ける
- 労働者側のデメリット:収入が安定しない
- まとめ
1.無期雇用派遣とは
無期雇用派遣は、派遣会社と雇用期間を定めずに契約を結ぶ働き方で、「常用型派遣」とも呼ばれます。有期雇用派遣(登録型派遣)とは異なり、雇用期間に定めがない点が最大の特徴です。
2015年に改正された労働者派遣法により、従来の有期雇用派遣では、同じ事業所での就業が原則3年までに制限されました。この法改正を背景に、無期雇用派遣の重要性が高まっています。
継続して3年以上派遣される見込みとなる場合、派遣会社には以下のいずれかの雇用安定措置を講じる義務が生まれました。

- 派遣先企業への直接雇用の依頼
- 新たな派遣先の提供
- 派遣会社での派遣労働者以外としての無期雇用
- その他、雇用の安定を図るための措置
この雇用安定措置とは別に、有期雇用派遣から契約を転換する際に適用される「無期転換ルール」が規定され、2018年ごろから無期雇用派遣を取り入れる派遣会社が増えてきました。
無期雇用派遣は、派遣社員の雇用の安定と収入確保に貢献します。 派遣会社との雇用関係が継続し、キャリア形成支援やスキルアップの機会も得られるためです。
企業側にとっては、長期的な人材確保が可能になり、特に専門性の高い業務で有効な選択肢となります。近年でははじめから無期雇用派遣としての募集や人材採用をおこなう派遣会社もあります。
関連記事:有期雇用派遣労働者の雇用安定措置について