シニア派遣の活用で変わる現場の生産性|人事のための受け入れガイドと労務管理上の注意点

人材派遣の実践
シニア派遣の活用で変わる現場の生産性|人事のための受け入れガイドと労務管理上の注意点シニア派遣の活用で変わる現場の生産性|人事のための受け入れガイドと労務管理上の注意点

近年、シニア派遣が注目を集めており、うまく活用すれば生産性の向上が期待できます。しかし、どのような点に注意が必要なのか、どうサポートすればよいのか分からないという人事担当者も多いのではないでしょうか。

シニア人材を受け入れるには、特徴や法律上の扱いを把握しておくことが重要です。本記事ではシニア派遣の受け入れに必要な知識と労務管理上の注意点を解説していきます。

 

この記事で分かること

  • シニア人材の派遣活用の注目度やメリット
  • シニア人材の労務管理上における注意点
  • 活躍を促す、シニア派遣の活用ポイント

目次

  1. シニア派遣への注目が高まっている背景
  2. シニア派遣を受け入れるメリット
    • 即戦力になりやすい
    • 3年ルールが適用されない
    • 短期間の受け入れも可能
    • 社員へ好影響を与える
  3. シニア派遣の労務管理上の注意点
    • 安全配慮義務の遵守
    • 体力や健康面のリスクへの対応
    • 現役世代とは公的な制度の適用が異なる
  4. シニア派遣活用のポイント
    • IT機器の扱いのサポート
    • モチベーション維持のサポート
    • コミュニケーション環境の整備
    • 業務内容の明確化
  5. まとめ

1.シニア派遣への注目が高まっている背景

少子高齢化の影響で、生産年齢人口が減少し、人手不足が深刻化しています。その一方で注目されているのは働くシニア世代の人たちです。生活費の確保や健康寿命の延伸などを背景に、働き続けることを選択する高齢者は増加しています。企業側でも、シニア人材の活用が進んでいる状況です。

国もシニア人材の活用を後押ししています。少子高齢化に対応する国の施策の1つとして、2021年4月施行の改正高年齢者雇用安定法により「高年齢者雇用安定法」が改正されました。これにより、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となり、社会全体で70歳まで働くという気運が高まっています。

また、企業がシニア人材の採用ではなく派遣を選ぶことで、期間の柔軟な設定やスキルの活用などの面でメリットがあります。

参考:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~(厚生労働省)

シニア派遣の活用で変わる現場の生産性|人事のための受け入れガイドと労務管理上の注意点

2.シニア派遣を受け入れるメリット

シニア派遣の受け入れで企業が得られるメリットを詳しく見ていきましょう。

即戦力になりやすい

シニア人材は長年社会人として仕事をしてきたため、経験豊富でスキルの高い人が多いのが特徴です。若い人材の場合には、戦力として活躍できるようになるまでにかかる教育コストは無視できません。その点、シニア人材は教育コストを抑えて、即戦力としての活躍が期待できるのがメリットです。

さらにシニア人材は長年の経験に基づく知恵や課題解決能力があり、シニア人材ならではの活躍や生産性向上が期待できます。

3年ルールが適用されない

派遣の場合、原則として同一の部署では連続して3年までしか受け入れることができません。3年ルールと呼ばれ、派遣社員のキャリアアップや雇用の安定化を目的としているものです。これにより、派遣社員を受け入れている企業は、優秀な人材を確保できても、あまり長くは働いてもらえません。

しかし、60歳以上の派遣社員に関しては、このルールが適用されないのがメリットです。そのため、派遣でも比較的長く働いてもらえます。

短期間の受け入れも可能

派遣では30日以下の日雇い派遣が原則として禁止されています。しかし、いくつか例外があり、そのうちの1つが契約時点で満60歳以上という条件です。これにより、一時的な人手不足への対応として、シニア派遣の受け入れができます。

例えば、繁忙期に人員を増やしたい場合や、休暇を取得している社員の代わりの人材が必要なときなどに重宝するでしょう。

社員へ好影響を与える

世代が異なると物事の考え方も異なることが多くなります。既存の社員でも20代と50代では、考え方の違いが大きいでしょう。シニア人材なら、さらに年齢差が大きいため、社員が柔軟な発想や対応力を身に付けるきっかけになりやすいのがメリットです。

世代の異なる人の価値観に触れることで、視野が広がることもあるでしょう。身近にシニア世代の人がいることで、将来のキャリアを描きやすくなるなどのメリットもあります。

3. シニア派遣の労務管理上の注意点

シニア世代の人は労務管理において、現役世代の社員と異なる面があります。では、どのような点に注意すべきなのか見ていきましょう。

安全配慮義務の遵守

派遣先企業では派遣社員に対して安全配慮義務を負っています。派遣社員の危険または健康被害防止のための措置をとらなければなりません。安全配慮義務自体は、現役世代の派遣社員に対しても負っていますが、シニア人材の場合には身体的機能の低下に注意が必要です。

体力や反射的対応能力などが低下していることを考慮した上で、マネジメントする必要があります。特に転倒や転落による事故が発生しないように十分な対策を講じておきましょう。

体力や健康面のリスクへの対応

現役世代の人なら特に支障のないことでも、シニア世代の人にとっては体力的に厳しいこともあります。例えば、1日8時間で週5日の勤務は現役世代にとっては普通でも、シニア世代にとっては負担に感じられるかもしれません。労務管理を行う上では、シニア世代の人は現役世代の人よりも体力が衰えていることを考慮する必要があります。

また、シニア世代だと持病を抱えているケースも多いため、急な体調不良や入院などで欠勤する可能性も想定した勤務体制を整えておきましょう。

現役世代とは公的な制度の適用が異なる

シニア世代は社会保険や雇用保険などに関して、現役世代とは異なる面があります。例えば、派遣元が負担する法定福利費が安くなるため、結果として派遣料金が抑えられる可能性があります。

また、60歳以上なら在職老齢年金の制度が適用されます。健康保険に関しては、75歳未満なら現役世代と同様に加入可能ですが、75歳以上になると、働いていても後期高齢者医療に移行します。

4. シニア派遣活用のポイント

シニア派遣を活用する際には、適切にサポートし環境を整えることで活躍しやすくなります。では、どのようなことを行えばいいのか、シニア派遣活用のポイントを見ていきましょう。

IT機器の扱いのサポート

シニア世代の人は基本的にスキルが高い傾向にありますが、IT機器に関しては不慣れな人も多い傾向にあり、現役世代と同じように使いこなすのは難しい場合もあります。そのため、仕事でIT機器を使用する場合には、使い方を丁寧にレクチャーしたり、操作マニュアルを準備したりすることが重要です。

ただ、人によっては丁寧にレクチャーしても、なかなか使いこなせないこともあるかもしれません。どうしても苦手な場合には得意な業務を優先して任せるのも一つの方法です。

モチベーション維持のサポート

収入を得るため、社会との関わりを保つため、健康維持のためなど、シニア世代の派遣社員が働く目的は人によってさまざまです。いずれの場合も、能力を発揮して活躍するためにはモチベーションの維持が重要です。

シニア世代の派遣社員がどのような目的で働くのか確認し、モチベーションを保てるようにサポートする必要があります。担当業務を決める際にも、働く目的を考慮するといいでしょう。

コミュニケーション環境の整備

仕事をする上で円滑にコミュニケーションをとれることは非常に重要です。コミュニケーションがうまくいかないと、スキルが高くても思うように活躍できません。

シニア世代の派遣社員も通常の派遣社員と同様に、他の社員とのコミュニケーションがうまくいかない可能性があります。そのため、コミュニケーションをとりやすい環境を整えておくことが重要です。例えば、連絡方法の説明をしておいたり、ヒアリングの機会を設けたりするなどしておきましょう。

業務内容の明確化

シニア世代の派遣社員に何の業務を任せるのか、あらかじめ明確にした上で伝えておきましょう。できそうな仕事があったら任せようと考えている人もいるかもしれませんが、そのやり方では、モチベーションの低下につながってしまう可能性があります。

また、自社の社員との業務のすみ分けも重要です。責任の所在や意思決定への関与度合いなども考慮して、役割分担や担当範囲を決めるようにしましょう。

5.まとめ

シニア世代の派遣社員は長期間でも短期間でも受け入れ可能で、スキルが高く即戦力としての活躍が期待できます。安全配慮義務や健康面でのリスクに注意する必要がありますが、それ以上のメリットが期待できます。定年退職後もまだまだ働きたいと考えているシニア世代の人は多いため、シニア派遣の受け入れを検討してみましょう。

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