

派遣社員が体調を崩したり、家庭の事情などで働けなくなった場合、「休職の手続きは誰が行うのか?」と疑問に思う派遣先企業の担当者も多いのではないでしょうか。
派遣社員は、雇用契約を結ぶ「派遣元(派遣会社)」と、実際に勤務する「派遣先企業」の双方が関わるため、対応の線引きが曖昧になりやすいのが実情です。
また、企業側の都合で一時的に業務を止める「休業」とは異なり、派遣社員自身の事情による「休職」は、制度の有無や適用範囲、復職の可否など、派遣元の就業規則によって対応が異なります。
この記事では、派遣社員が休職する際の基本的な手続きの流れや利用できる補償制度、派遣先企業として知っておきたいポイントについて、分かりやすく解説します。
目次
- 派遣社員でも休職できる?
- 派遣会社と派遣先企業の両者の確認が必要
- 派遣社員が休職する際の手続き
- 医師の診断書を取得する
- 派遣会社に相談する
- 所定の手続きを行う
- 派遣先企業への連絡・調整
- 派遣社員が休職中に利用できる補償制度
- 休業補償(労災保険による)
- 傷病手当金
- 派遣先企業として注意すべきポイント
- 休業補償・傷病手当金に関する支払い
- 労災発生時に派遣先企業がとるべき対応
- 安全配慮義務の観点
- まとめ
1.派遣社員でも休職できる?
派遣社員でも、状況によっては休職が可能です。ただし、派遣社員は「派遣元(派遣会社)」と雇用契約を結んでいるため、休職制度の有無や利用条件は派遣元の就業規則に従うことになります。派遣先企業の制度ではなく、派遣元が定める制度が適用される点に注意が必要です。
また、派遣社員は「人員の一時的な補充」を目的として契約されるケースが多いため、たとえ制度があっても長期休職の取得は難しい場合があります。たとえば、病気やケガで長期間働けなくなった場合、休職ではなく「契約満了・更新なし」となり、退職扱いになることも少なくありません。
自社で働く派遣社員が休職を検討する場合は、まず派遣元(派遣会社)の就業規則に休職に関する規定があるかを確認し、派遣元に相談することが重要です。また、有給休暇の活用も選択肢となります。

派遣会社と派遣先企業の両者の確認が必要
派遣社員が休職を希望する場合、まずは派遣元(派遣会社)に申し出て、必要な手続きを進めます。派遣元が休職を認めた場合でも、実際の業務を行う派遣先企業には休職の旨を連絡し、今後の対応を協議する必要があります。
派遣先企業は、業務上の人員確保が必要なため、休職期間中は代替要員の派遣を求めることが一般的です。場合によっては、派遣先企業が新たな人材の派遣を希望し、元の契約が終了となるケースもあります。その場合、派遣社員は復職できず、退職扱いとなることもあります。