【2026年】労働安全衛生法改正にどう対応する?企業が押さえるべきポイント

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【2026年】労働安全衛生法改正にどう対応する?企業が押さえるべきポイント【2026年】労働安全衛生法改正にどう対応する?企業が押さえるべきポイント

派遣社員の安全管理は派遣元企業だけの責任ではありません。2025年には労働安全衛生法が改正され、派遣先企業にも対応が求められます。企業の義務の範囲は広く、内容を正確に押さえないと、知らない間に法律に違反している可能性もあるでしょう。

本記事では、派遣先企業の人事担当者向けに、押さえておくべき改正内容と実務対応のポイントを解説します。

この記事で分かること
・労働安全衛生法改正の全体像
・派遣先企業が注意すべき改正ポイント
・派遣先企業が把握しておきたい実務対応と注意点

目次

  1. 労働安全衛生法とは
  2. 2026年の労働安全衛生法改正の全体像
  3. 派遣先企業が特に注意すべき4つの改正
    • 個人事業者を含む混在作業の安全管理強化
    • 化学物質管理の厳格化と責任の明確化
    • 高齢者への安全配慮
    • 職場のメンタルヘルス対策の推進
  4. 派遣先企業が押さえるべき実務対応と注意点
    • 現場の安全管理範囲を派遣元企業任せにしない
    • 派遣社員・請負・個人事業者が混在する作業場所のリスクを洗い出す
    • 作業間の連絡調整や安全衛生教育の対象を整理する
  5. まとめ

1.労働安全衛生法とは

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を守るため、労働災害の防止や快適な職場環境の形成を目的とする法律です。安全管理体制の整備や危険・有害業務への対策、健康診断の実施などを企業に義務付けており、原則として労働者を使用する事業者が対象になります。

重大な違反には罰則が定められており、企業にとって労働基準法と並んで重要な法律です。派遣社員に対する労働安全衛生法の義務は、一義的には労働契約を結んでいる派遣元企業が責任を負いますが、指揮命令権がある派遣先にも一部適用されます。

参考:派遣労働者の安全衛生対策について(厚生労働省)

労働安全衛生法とは

2.2026年の労働安全衛生法改正の全体像

本改正は、2025年5月14日に公布された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」で決定しました。正社員に限らず、多様な人材が安全かつ安心して働ける職場環境の整備を目的とした改正で、主な改正内容は次の表のとおりです。

分野 主な改正内容
個人事業者などへの安全衛生対策 ・フリーランス・一人親方などを保護対象に追加
・混在作業時の連絡調整を義務化
化学物質管理の強化 ・SDS通知義務違反への罰則新設
・リスクアセスメント対象の拡大
機械などによる労働災害防止 ・設計検査や製造時等検査に関する登録機関の実施範囲拡大
・検査基準の強化
高年齢者の労働災害防止 ・高齢の従業員への配慮を努力義務化
職場のメンタルヘルス対策 ・50人未満の事業場でもストレスチェックが義務化

派遣先企業では、主に現場管理に関連する項目を優先して対策すると、重要な改正内容に対応しやすいでしょう。

参考:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)(厚生労働省)

3.派遣先企業が特に注意すべき4つの改正

2026年の労働安全衛生法改正の中から、派遣先企業が特に注意すべき改正は、次の4点です。

  1. 個人事業者を含む混在作業の安全管理強化
  2. 化学物質管理の厳格化と責任の明確化
  3. 高齢者への安全配慮
  4. 職場のメンタルヘルス対策の推進

個人事業者を含む混在作業の安全管理強化

今回の改正で、フリーランスや一人親方などの個人事業者が、新たに労働安全衛生法の保護対象に位置づけられました。改正の背景は、一般の従業員と個人事業者が混在して作業するケースの増加です。個人事業者は従業員と比べて必ずしも作業環境に精通していない場合があり、安全衛生教育が十分でなかったりする場合が多く、混在作業での労働災害の発生リスクが懸念されていました。

従業員と個人事業者が混在する状態で作業を行わせる場合は、作業間の連絡調整など、安全の確保に必要な措置が義務付けられます。また、個人事業者が被災者となる事故については、2026年4月より事業者への報告義務が一部施行されています。

さらに2027年1月からは「個人事業者等の業務上災害報告制度」が施行予定です。重大な業務上災害が発生した際、直近の注文者(特定注文者)が労働基準監督署へ報告する仕組みへと強化される予定です。

派遣先にとっては、連絡調整や作業上の統括管理の重要性が高まったといえるでしょう。

化学物質管理の厳格化と責任の明確化

化学物質の管理に関する改正は、主に次の2点です。

  • SDS(安全データシート)通知義務違反の罰則化
    SDS(安全データシート)とは、化学物質の成分や危険性、取扱いの注意点などをまとめた文書です。SDSによる化学物質の危険性・有害性情報の通知義務に違反した場合、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。通知事項に変更が生じた際の再通知も、努力義務から義務として明確化されました。
  • リスクアセスメント対象の拡大
    リスクアセスメントとは、化学物質の危険性や有害性を特定するための取り組みです。改正により、リスクアセスメントの対象となる化学物質が、約300物質から約2,900物質に拡大されました。

派遣先企業で化学物質の情報や取扱いルールの周知が不十分だと、法違反に該当するだけでなく、労働災害発生時の責任を追及され、派遣元企業との取引が終了する原因にもなりえます。対策の優先度が高い改正といえるでしょう。

高齢者への安全配慮

高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、作業管理その他の必要な措置が努力義務化されます。高年齢労働者は他の世代と比べて労働災害の発生率が高い傾向があるとされており、災害発生時の休業期間も長くなりやすいことから、新たに規定が追加されました。

高齢者に対する安全配慮の努力義務化は、今後改正される労働安全衛生法において派遣社員も対象です。該当する派遣社員がいる場合は、特性を踏まえた対応が必要になります。この改正は「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」の内容を整合する内容であり参考になります。

職場のメンタルヘルス対策の推進

職場のメンタルヘルス対策の推進として、ストレスチェックの実施義務が拡大される予定です。現在、ストレスチェックの実施が義務付けられているのは従業員数50人以上の事業場に限られ、50人未満の事業場は努力義務とされています。

今回の改正で、50人未満の事業場でも年1回のストレスチェック実施が2028年5月までに義務化される予定です。

派遣社員のストレスチェックは、雇用関係のある派遣元企業での実施が原則です。ただし、職場全体のストレス傾向を把握するための調査である集団分析は、派遣社員も含めて実施した方が望ましいでしょう。集団分析の実施は改正後も努力義務に過ぎませんが、派遣社員も対象者に含めて実施すると、現場の実態に即した結果を得やすくなります。

参考:改正労働安全衛生法説明会~個人事業者等の安全衛生対策の推進について~(厚生労働省)

4.派遣先企業が押さえるべき実務対応と注意点

今回の法改正では、派遣先企業として実務上対応すべき内容が多々あるため、ポイントの把握が重要です。現場対応に直結する注意点を3つ解説します。

現場の安全管理範囲を派遣元企業任せにしない

派遣社員の安全管理の責任は、雇用契約を結んでいる派遣元企業に任せれば良い、という考えは誤りです。厚生労働省の通達では、派遣先企業にも現場での安全配慮の責任があると明示されています。派遣社員が実際に働く現場を管理しているのが派遣先企業である以上、現場での安全管理は派遣先企業も責任を負うという趣旨です。

労働安全衛生法の現場管理責任と、雇用関係の有無は分けて考え、派遣先企業として取り組むべき対応を検討しましょう。

参考:派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について|厚生労働省

派遣社員・請負・個人事業者が混在する作業場所のリスクを洗い出す

今回の改正で、自社の従業員と個人事業者が混在する作業場所での安全管理の考え方が明確化されました。派遣社員や請負、個人事業者など、多様な立場の人が混在する作業場所では、事故発生のリスクが相対的に高まる傾向があります。

例えば卸売業で、自社の店員とフォークリフトで商品を搬出する運送業者が同じ場所で異なる作業に従事している場合、作業内容の情報共有が足りなかったり、作業動線が交差したりすると、接触事故が起こりやすくなります。

管理する現場の関係者を改めて洗い出し、従来の安全管理を見直す必要があるか検討しましょう。

作業間の連絡調整や安全衛生教育の対象を整理する

作業間の連絡調整や安全衛生教育の対象が曖昧だと、労働災害が起こりやすくなります。
今回の改正では、混在作業場所を管理する企業に対し、作業間の連絡調整など、安全管理に必要な措置が義務付けられました。作業の発注元である元方事業者の場合は、個人事業者を含む作業従事者に対しても、必要な指導や指示を行うことが求められます。

派遣社員に対しても、労働災害防止に必要な安全衛生教育や、派遣元企業と派遣先企業との連絡調整が求められます。今回の改正を機に、安全衛生教育の実施主体や対象範囲、内容を明確に整理しましょう。

参考:派遣労働者に対する安全衛生教育について|厚生労働省

5. まとめ

派遣先企業にとって、今回の労働安全衛生法の改正で重要なポイントは、現場管理責任の明確化です。派遣先企業としては、自社の従業員だけでなく、個人事業者や派遣社員を含むすべての作業従事者の安全に配慮する必要があります。

法改正への対応を早めに準備しておくと、自社の労働災害リスクの最小化に役立ちます。まずは自社の現場で誰が作業しているかを把握し、連絡調整や教育体制を整えましょう。

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