事業所単位期間制限の延長手続きについて

人材派遣の基礎知識
事業所単位期間制限の延長手続きについて事業所単位期間制限の延長手続きについて

目次

  1. 延長手続きについて
  2. 意見聴取の流れ
    • 意見聴取
    • 対応方針等の説明
    • 派遣可能期間の延長

1.延長手続きについて

派遣先は、事業所単位の期間制限による3年の派遣可能期間を延長しようとする場合、その事業所の過半数労働組合または過半数代表者(以下、過半数労働組合等)からの意見を聴く必要があります(法第40条の2第3項)。

意見を聴いた結果、過半数労働組合等から異議があった場合には、派遣先は対応方針等を説明する義務があります。

延長手続きについて

これは、労使自治の考え方に基づき、派遣労働者の受け入れについて派遣先事業所内で実質的な話合いができる仕組みを構築することが目的であり、派遣先は、意見聴取や対応方針等の説明を誠実に行うよう努めなければなりません。
また最初の派遣労働者の受け入れの際には、派遣先は、過半数労働組合等に受け入れの方針を説明することが望まれます。

2.意見聴取の流れ

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  1. 意見聴取
  2. 対応方針等の説明
  3. 派遣可能期間の延長

意見聴取

  • 派遣先は、事業所単位の期間制限の抵触日の1か月前までに、事業所の過半数労働組合等からの意見を聴きます。ただし、過半数労働組合等に十分な考慮期間を設けなければなりません。
  • 派遣先が意見を聴く際は、次の事項を書面で通知しなければなりません。

    1. 派遣可能期間を延長しようとする事業所
    2. 延長しようとする期間
  • 派遣先が意見を聴く際は、事業所の派遣労働者の受け入れの開始以来の派遣労働者数や派遣先が無期雇用する労働者数の推移等の、過半数労働組合等が意見を述べる参考となる資料を提供しなければなりません。 また、過半数労働組合等が希望する揚合は、部署ごとの派遣労働者の数、個々の派遣労働者の受け入れ期間等の情報を提供することが望まれます。
  • 派遣先は、意見を聴いた後、次の事項を書面に記載し、延長しようとする派遣可能期間の終了後3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

    1. 意見を聴いた過半数労働組合の名称または過半数代表者の氏名
    2. 過半数労働組合等に書面通知した日及び通知した事項
    3. 意見を聴いた日及び意見の内容
    4. 意見を聴いて、延長する期間を変更したときは、その変更した期間

留意点

過半数労働者

  • 派遣先の事業所に過半数労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)が意見を聴く相手になります。
  • 意見聴取を行う過半数代表者が使用者による指名であるなどして、民主的な方法によって選出されたものでない場合は、 事実上、意見聴取が行われていないものと同視して、労働契約申込みみなし制度の対象となりますので、ご注意ください。

対応方針等の説明

  • 派遣先は、意見を聴いた過半数労働組合等が異議を述べたときは、延長しようとする派遣可能期問の終了日までに、次の事項について説明しなければなりません。

    1. 派遣可能期間の延長の理由及び延長の期間
    2. 異議への対応方針
  • 派遣先は、説明した日及び内容を書面に記載し、延長しようとする派遣可能期間の終了後3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

留意点

意見の尊重

  • 異議が述べられた場合、派遣先は十分その意見を尊重するように努めなければなりません。
  • 異議に対して対応方針等を説明するにあたっては、意見を勘案して、派遣受入について再検討を加えること等により、意見を十分に尊重するように努めなければなりません。
  • 2回目以降の延長に係る意見聴取において、再度異議が述べられた場合は、当該意見を十分に尊重し、受入人数の削減等 の対応方針を採ることを検討し、その結論をよリ一層丁寧に説明しなければなりません。

派遣可能期間の延長

  • 派遣可能期間を延長できるのは3年間までです。延長した派遣可能期間を再延長しようとする場合は、改めて過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。

    ※意見聴取は派遣先の事業所で受け入れているすべての労働者派遣が対象となるため 意見聴取を行うことで、原則としてすべての労働者派遣の派遣可能期間が一律に延長になります。ただし過半数労働組合等からの意見を踏まえ個別の労働者派遣ごとに延長の幅を設定したり延長しないことも可能です。