2023年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」のなかで、子育て期の時短勤務に対して補助金を支給する「育児時短就業給付(仮称)」が盛り込まれました。時短勤務は一定の条件を満たす労働者に認められている制度であり、期間を定めて雇用される派遣社員も対象となります。派遣先企業の担当者としても、自社で受け入れている派遣社員が育児により労働時間の短縮を希望する場合に備えて、時短勤務に関連する政策や必要な両立支援について理解しておくのが望ましいでしょう。
この記事では時短勤務補助金の基礎知識とともに、派遣先企業も把握しておきたい両立支援の内容をわかりやすく解説します。
目次
- 子育て期の時短勤務に補助金
- 育児時短就業給付とは
- 育児時短就業給付はいつから
- 短時間勤務制度とは
- 短時間勤務制度の利用状況
- 短時間勤務制度の課題
- 育児時短就業給付のメリット・デメリット
- 育児時短就業給付のメリット
- 育児時短就業給付のデメリット
- 育児時短就業給付の内容
- 支給条件
- 支給金額
- 育児時短就業給付の懸念点
- マミートラックの助長
- 女性に対する育児負担の偏り
- フルタイム勤務者との不均衡
- 育児と仕事との両立支援
- テレワーク
- フレックスタイム制
- 時差出勤制度
- 時間単位の年次有給休暇制度
- 子の看護休暇
- まとめ
1.子育て期の時短勤務に補助金
国は子どもを育てながら時短勤務(短時間勤務)をしている労働者に対し、賃金の1割に相当する額の給付金を支給する方針を打ち出しました。少子化対策の方針を示した「こども未来戦略方針」(2023年6月閣議決定)に盛り込まれた施策の一つで、短縮した時間を問わずに給付がおこなわれる見込みです。
時短勤務は育児・介護休業法によって規定されている労働者の権利です。しかし、時短勤務を選択すると収入が減るため、制度の利用をためらう労働者も多いのが現状です。このような状況を受けて創設される子育て期の時短勤務補助金には、労働時間の短縮による収入の低下を補うとともに、育児中の従業員に時短勤務の活用を促すねらいがあります。