アウトソーシングと派遣の違いを解説!メリット・デメリットも紹介

人材派遣の基礎知識
アウトソーシングと派遣の違いを解説!メリット・デメリットも紹介アウトソーシングと派遣の違いを解説!メリット・デメリットも紹介

自社スタッフで対応しきれない業務がある場合、まず人材派遣の活用を検討するケースが多いでしょう。しかし、最近は需要の高まりとともにアウトソーシングを依頼できるサービスも続々と登場しており、アウトソーシングと派遣のどちらを利用するべきか悩むことが増えるかもしれません。

アウトソーシングと派遣は外部に業務を依頼する点で共通しますが、いくつか相違点もあります。これらの分野は制度の改正が多く流動的であるため、人事担当者であっても自社で利用する場合はどちらが適しているか、両者の共通点や相違点を理解し根拠をもって答えられる人は決して多くないでしょう。

この記事では、アウトソーシングと派遣にはどのような違いがあるのか、両者の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

目次

  1. アウトソーシングと派遣の違い
    • アウトソーシングの特徴
    • 派遣の特徴
    • アウトソーシングと派遣の相違点
  2. アウトソーシングのメリット・デメリットとは?
    • メリット
    • デメリット
  3. 派遣のメリット・デメリットとは?
    • メリット
    • デメリット
  4. アウトソーシングと派遣を使い分けるポイントとは?
  5. まとめ

1.アウトソーシングと派遣の違い

人事担当者であれば理解しておくべきアウトソーシングと派遣の違いとは何でしょうか。まずはアウトソーシングと派遣の特徴を紹介し、両者の具体的な相違点について解説します。

アウトソーシングと派遣の違い

アウトソーシングの特徴

アウトソーシングとは、自社の業務を外部の人材に委託し、遂行してもらうことをいいます。
たとえば「梱包・発送業務」をアウトソーシングすると、委託先への依頼内容は商品を梱包・発送した個数やその保管期間に応じて決まります。企業は「人材」ではなく「業務」を発注していること、また「業務」の遂行に対して報酬が支払われることが特徴です。

アウトソーシングという言葉は和製英語であり、Out(外部)とSourcing(資源化)を組み合わせたものです。以前はシステム開発を外部委託する際に使われていましたが、現在は幅広い部署や業務で使用されています。

派遣の特徴

人材派遣とは、人材(=派遣社員)を自社の労働者として派遣してもらうことです。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、事前に定めた業務の範囲内で派遣先企業の指揮命令権に服します。つまり、派遣先企業の担当者が派遣社員に直接の指示命令をおこないます。

派遣先企業は派遣社員の就業時間の指定ができ、社会保険の負担なく時間給で依頼できます。なお、給与の支払いや福利厚生は派遣先企業ではなく、派遣元企業つまり派遣社員の雇用主が担当します。

アウトソーシングと派遣の相違点

両者は雇用形態が異なり、アウトソーシングは業務委託契約、派遣は労働者派遣契約を締結します。簡単にいうと、アウトソーシングは「業務自体を遂行してもらう」契約であり、派遣は「業務を遂行する人材を手配してもらう」契約です。また、契約形態の相違から業務指示にも違いがあり、アウトソーシングではアウトソーシング会社の担当者、派遣では派遣先企業の従業員が業務指示をおこないます。業務指示における主体の違いは、アウトソーシングと派遣の最も大きな違いといえるでしょう。

また、アウトソーシングでは業務遂行や成果物の納品によって対価が発生するのに対して、派遣では派遣社員の労働によって対価が発生するという違いもあります。さらに契約期間においても、アウトソーシングの場合は委託会社とアウトソーシング会社の2社間で設定できますが、派遣の場合は労働者派遣法によって上限3年と規定されています。

2.アウトソーシングのメリット・デメリットとは?

アウトソーシングのメリット・デメリットには以下が挙げられます。

メリット

コストを削減できる

自社で社員を採用すると、採用活動や研修・育成、給与、社会保険料などさまざまなコストがかかります。この点、アウトソーシングを利用すれば即戦力となる人材を活用できるため、採用・育成費用の抑制が可能です。また、必要な期間だけ、必要な人材に業務を依頼することで人件費も抑制されます。

専門人材を活用できる

専門スキルに特化した人材を自社の社員として採用するのは容易なことではありません。この点、アウトソーシングを利用すれば専門人材とつながることも比較的容易であり、自社の人材不足・スキル不足を解消できます。また、十分な知識や能力を持つ専門人材を活用することで、業務品質や競争力の向上も期待できるでしょう。

デメリット

セキュリティリスクがある

アウトソーシングを利用する場合、社外に業務を委託するため、人事情報や顧客情報などの共有も必然的に生じます。このため、データの紛失や情報漏えいといったセキュリティリスクが高まると考えられます。こうしたリスクを防ぐためには、委託先企業の情報管理体制などの信用調査が重要となるでしょう。

社内にノウハウが蓄積されない

アウトソーシングを利用すると、委託先企業の主導で業務を進めることが多く、経験やノウハウが社内に蓄積されません。加えて、業務内容がブラックボックス化してしまったり、トラブルへの対応が遅れたりといったリスクもあります。アウトソーシングを依頼する際は、委託した業務の進捗確認を随時おこない、情報の共有に努める必要があるでしょう。

3.派遣のメリット・デメリットとは?

派遣のメリット・デメリットには以下が挙げられます。

メリット

業務管理が容易である

直接の雇用関係はないものの、派遣社員は派遣先企業の指揮命令に従います。派遣先企業は労働者に対して直接指示を出せるため、派遣社員の業務管理を容易におこなうことができます。また、派遣社員と直接コミュニケーションをとることで、指示事項の齟齬(そご)が少なく、柔軟に対応してもらいやすいというメリットもあります。

必要な期間だけ依頼できる

派遣社員は短期間での契約も可能なため、一時的な人材の需要に対応してもらえるメリットがあります。繁忙期の人手不足に柔軟に対応できるほか、自社の社員が産休や育休で休んでいる期間だけ派遣を依頼し、復職までの期間を穴埋めできます。

デメリット

派遣先企業の担当者の負担が増える

派遣の場合、派遣先企業に労働者を招き入れて業務にあたってもらうため、派遣社員に対する業務指示やシフト管理は派遣先企業の担当者がおこなう必要があります。また、派遣社員を増やすたびに育成や指導、引き継ぎが必要となり、担当者の業務負担の増加が懸念されます。

法律による規制が多い

すべての業務に対して派遣を活用できるわけではなく、建設業務や警備業務、医療関連業務など、派遣を利用できない業務もあります。また、2015年の労働者派遣法改正によって規制が厳格化し、同一の事業所における派遣社員の受け入れは3年を上限に、これより長い期間を希望する場合は正社員や契約社員に切り替えて直接雇用することが努力義務となりました。さらに2020年の改正では「同一労働同一賃金」が盛り込まれ、正規雇用と非正規雇用との待遇格差の是正が必要となりました。

関連記事:派遣労働者の「同一労働同一賃金」について

4.アウトソーシングと派遣を使い分けるポイントとは?

アウトソーシングと派遣を使い分けるには、外部に依頼したい業務が「定型業務」と「非定型業務」のどちらであるかがポイントとなります。たとえば労務管理や採用業務、経理業務、IT関連業務など、すでにルーティン化されている業務やマニュアル化しやすい定型的な業務はアウトソーシングに向いています。

これに対して、臨機応変な対応が求められる非定型的な業務であれば、作業をおこなう本人と直接コミュニケーションをとれる派遣のほうが向いているでしょう。具体的には販売や接客、研究開発などが挙げられます。このようにアウトソーシング向きの業務と派遣向きの業務は異なるため、依頼する業務内容に応じて使い分けるのがよいです。

5.まとめ

アウトソーシングと派遣は外部人材の活用という点で共通しますが、その仕組みや活用できるケースはそれぞれ異なります。少子高齢化による生産年齢人口の減少が顕著であるからこそ、企業は両者の特徴や違いを理解し、複数の選択肢を持つべきでしょう。

慢性的な長時間労働や人材不足などの課題解決の手段としては、外部リソースの活用が必須となります。外注したい業務内容に応じて、アウトソーシングと派遣を適切に使い分けることをおすすめします。

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