業務マニュアルとは?作り方やコツをわかりやすく紹介

人材派遣の基礎知識
業務マニュアルとは?作り方やコツをわかりやすく紹介業務マニュアルとは?作り方やコツをわかりやすく紹介

業務の目的や手順をまとめた業務マニュアルは、新しく業務を習得するうえでなくてはならないものです。マニュアルに沿って作業を進めると、業務の流れや判断に迷うことなく、誰もが一定以上の品質を担保できます。派遣社員を受け入れる際にも、マニュアルがあれば業務指導がスムーズに進むため、教える側の社員の負担が軽減されます。

この記事では、業務マニュアルの作り方やコツについてわかりやすく解説します。

目次

  1. 業務マニュアルとは
    • 手順書との違い
  2. 業務マニュアルを作成する目的
    • 業務の標準化
    • 業務の効率化
    • 顧客満足度の向上
    • 教育の負担軽減
  3. 業務マニュアルに記載する内容
  4. 業務マニュアルの作り方
    • 1.スケジュールを立てる
    • 2.マニュアル化する業務内容を整理する
    • 3.フォーマットと構成を決める
    • 4.構成に沿って落とし込む
    • 5.マニュアルを運用し効果を検証する
  5. 業務マニュアル作成のコツ
    • 5W1Hを意識する
    • 読み手の目線に立つ
    • レイアウトを工夫する
    • ミスしやすいポイントを記載する
    • ITツールを活用する
  6. 派遣社員の受け入れに必要な準備
  7. まとめ

1.業務マニュアルとは

業務マニュアルとは、業務の標準的な手順を示したガイドラインのことです。その業務を遂行するうえで必要な情報が網羅的に記載されており、マニュアルに沿って作業を進めることができれば一定以上の品質を保つことができます。

業務マニュアルとは?作り方やコツをわかりやすく紹介

手順書との違い

業務マニュアルと類似するものに「手順書」があります。 手順書とは、一つの作業の手順について細かく記した書類のことです。一方、マニュアルは業務全体の概要や流れ、規則などを網羅的にまとめたもので、その業務に取り組むうえでのガイドラインとなります。イメージとしては、業務マニュアルから一つの作業を抜き出し、その作業の手順を詳しく説明するものが「手順書」といえます。

2. 業務マニュアルを作成する目的

業務マニュアルを作成する目的として以下の点が挙げられます。

業務の標準化

業務の標準的な手順を設定し、その手順に沿って作業をおこなうことを「標準化」といいます。特定の担当者しかその業務の手順や状況を把握できていない状態、いわゆる「属人化」を防ぐことが目的です。標準的なガイドラインである業務マニュアルがあれば、それに従って作業することで誰が担当しても同じ成果を出せるようになり、業務の標準化につなげることができます。

業務の効率化

業務マニュアルは、担当者の業務効率を上げるために欠かせないものです。業務を標準化することで、業務の進め方や判断に迷いがなくなり、業務効率の改善と生産性の向上につながります。また、マニュアルを作る際には業務の棚卸しをおこないます。このとき、現状の業務を見直して無駄な作業を省くことで、さらなる効率化が期待できます。

顧客満足度の向上

業務マニュアルがあれば、担当者が変わっても仕事の品質を維持することができます。異動や退職などによる担当者の交代は多々ありますが、担当者が変わることで仕事の品質が落ちてしまうと、顧客からの信頼を失い、ひいては企業の業績にまで影響が及ぶおそれがあります。業務を特定の誰かに依存せず、誰でも担当できるようにすることで、仕事の品質を保つことができ、結果的に顧客満足度の維持・向上につながっていきます。

教育の負担軽減

業務マニュアルはトレーニングや教育の資料として活用でき、新入社員や派遣社員にその場で聞けなかった不明点があれば、マニュアルを確認して解決することが可能です。また、具体的な手順やポイントを明確に記載することで、業務が理解しやすくなりミスを減らすことができるでしょう。

また、新入社員や派遣社員は、業務マニュアルに基づき繰り返し学習できるため、質問対応の時間も削減され、指導者の負担も軽くなります。教育やOJTが効率化されることで、他の業務に時間を割くことができ、生産性向上が期待できます。さらに、標準化されたマニュアルによって新人と経験者のスキルギャップが埋まり、組織全体での業務品質の担保につながります。

3. 業務マニュアルに記載する内容

業務マニュアルに記載する基本的な内容は以下のとおりです。

  • 業務の目的
  • 業務全体の流れ
  • 業務の判断基準(品質の基準、合否ラインなど)
  • よくあるトラブル事例と対処法
  • システムの使用方法
  • 社内用語・専門用語
  • 資料の保管場所
  • 問い合わせ先

なお、業務マニュアルには標準的な内容を記載すべきであり、個人のスキルに依存するノウハウは必要ありません。また、作業ごとの細かい手順を説明する場合は、その作業を抜き出し、手順書としてまとめることをおすすめします。

4. 業務マニュアルの作り方

業務マニュアルを作る際は以下の手順で進めると効率よく作成することができます。

1.スケジュールを立てる

最初に作成期限を決めて、大まかな作成スケジュールを立てておきます。
一般的に業務マニュアルが必要となるタイミングは、新しい人を受け入れるときや担当者が変わるときです。マニュアルの作成にどのくらいの時間を要するか計算し、期限までに仕上がるよう余裕のあるスケジュールを組みましょう。

2.マニュアル化する業務内容を整理する

スケジュールが決まったら、マニュアル化する業務内容を抽出・整理していきます。
その業務に関わる社員同士で話し合い、業務マニュアルに必要な内容を検討します。このとき、業務に精通しているベテラン社員だけでなく、まだ経験の浅い社員の意見も聞き入れることが大切です。経験値の異なる社員の意見を取り入れることで、誰が読んでもわかりやすいマニュアルを作成することができます。

3.フォーマットと構成を決める

次に、業務マニュアルのフォーマットと構成を決定します。
自社にマニュアルのフォーマットがあるか確認し、なければWordやExcel、PowerPointなどを使って新たに作成しましょう。フォーマットが決まったら、マニュアルを書き始める前に構成を作っておきます。見出しを決めて簡単に内容をまとめておくと、迷いなく書き進めることができ、一貫性のあるマニュアルに仕上がります。また、簡単に内容をまとめた「たたき台」を作り、部署メンバーからフィードバックを受けるのも効果的です。

4.構成に沿って落とし込む

整理した内容を構成に沿って落とし込んでいきます。
業務の流れを表すときはフローチャートを取り入れるなど、文章以外の要素も盛り込みながらわかりやすいマニュアルに仕上げましょう。完成したマニュアルは関係者と共有し、不足している内容やわかりにくい表現がないかなどを確認して、改善すべき点があれば配布する前に修正しておきます。

5.マニュアルを運用し効果を検証する

業務マニュアルを運用し、必要に応じてその都度加筆修正をおこないます。
マニュアル運用後の業務品質をチェックし、成果が出ていない場合はマニュアルを改善する必要があります。マニュアルは一度作って終わりではなく、追記すべき内容はすぐに書き加え、常にアップデートしていくことが大切です。

5. 業務マニュアル作成のコツ

わかりやすい業務マニュアルを作るためのコツを以下にまとめました。

5W1Hを意識する

5W1Hとは以下の6つの英単語を表すフレームワークです。

  • 誰が(Who)
  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • 何を(What)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)

業務マニュアルを作る際は5W1Hを明確にすることが重要です。情報の抜け漏れを防ぐとともに、必要な情報が漏れなくまとめられていることで、読み手の理解度が高まる効果もあります。これらが抜けていると、業務マニュアルだけでは理解できずに誰かに質問しなければならなくなるなど、余計な時間がかかってしまいます。業務の遂行に必要な情報を抜け漏れなく記載し、読み手の負担を減らすことが大切です。

読み手の目線に立つ

業務マニュアルを作る人はその業務に精通していることがほとんどです。自分目線ではなく相手目線に立って、誰もが理解できるマニュアルを作ることが大切です。たとえば業務未経験者に向けたマニュアルであれば、専門用語はなるべく避ける、必要な場合は注釈を付ける、専門用語集としてまとめるなどの対応が必要となります。また、マニュアルを配布する前に関係者との間で共有し、第三者が読んでもわかりやすい内容になっているか確認しましょう。

レイアウトを工夫する

業務内容や手順をマニュアル化する際、作業によっては文字だけではわかりづらいこともあります。必要に応じて図表やイラスト、フローチャート、チェックリストなどを用いると、視覚的にわかりやすくなり、読み手の理解度を高められます。特に初心者向けの業務マニュアルはレイアウトを工夫し、その業務が初めての人でも迷わずに取り組めるようなマニュアルを作りましょう。

ミスしやすいポイントを記載する

業務マニュアルには、特に注意が必要なポイントやミスをしやすいポイントを記載することが重要です。例えば、データ入力の際のミスや、特定の手順での順序ミスなどを詳細に説明します。これにより、ユーザーはミスを防ぐための具体的な対策を理解しやすくなり、同様のミスを未然に防ぐことができます。

また、これまでに発生したクレームやトラブル事例も記載し、例外的なケースに対する注意点や対応方法もあらかじめ示しておくと効果的です。万一同じようなケースが発生しても、適切に対応ができ、再発防止につながります。

ITツールを活用する

ITツールの活用によって、業務マニュアルの効率的な作成と共有が可能になります。文章が多いマニュアルにはWord、表やリストが多い場合はExcel、図や動画を多用するマニュアルにはPowerPointが適しています。

クラウド型作成ツールを使えば、リアルタイムでの共有や更新ができ、アクセスログから利用状況も確認できます。また、ツール内のテンプレートを活用したり、動画やスクリーンショットを組み込んだりして、質の高いマニュアルを効率的に作ることが可能になります。

6.派遣社員の受け入れに必要な準備

業務マニュアルは派遣社員を受け入れる際にも必要となります。あらかじめ業務内容をまとめておくことでスムーズな受け入れにつながり、派遣社員本人も負担なく業務に取り掛かれるでしょう。

加えて、派遣社員を受け入れる際には以下の準備も必要です。

  • 機材・備品(OA機器、机、椅子、ロッカー、電話機、制服、事務用品など)
  • 社内手続き(入館証の発行、メールアドレスの発行、社内ネットワークの手続きなど)
  • 環境の整備(マニュアルや手順書の準備、座席の配置、システムのセットアップなど)
  • 指揮命令者の選定
  • 関係者への周知

受け入れ当日は、社内設備の案内や利用方法の説明、社内ルールの共有、関係者への紹介などをおこないます。派遣社員が安心して就業できるよう、受け入れに必要な準備を確認し、働きやすい環境を整えておきましょう。

関連記事:押さえておきたい人材派遣のポイント【受け入れ後編】

7.まとめ

業務マニュアルは業務全体の概要や手順などをまとめたもので、その業務に取り組む人のガイドラインとなります。業務に関する標準的な内容が記載されているため、マニュアルに沿って作業をおこなえば、担当者によって仕事の品質が大きく左右されることはありません。派遣先企業としても、新しく受け入れた派遣社員が安心して業務に取り掛かれるよう、受け入れ日までに業務マニュアルを用意しておくのが望ましいでしょう。

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