人事担当者必見!人材派遣と人材紹介の違いや選び方、適切な利用シーンを解説

人材派遣の基礎知識
人事担当者必見!人材派遣と人材紹介の違いや選び方、適切な利用シーンを解説人事担当者必見!人材派遣と人材紹介の違いや選び方、適切な利用シーンを解説

人材派遣と人材紹介はいずれも、人材不足を解消したい企業向けに提供されるサービスです。いずれも自社で求人募集を行うよりも、手間や時間を省いて必要な人材を確保できます。ただし両者の違いが分かりにくく、どちらを利用すべきか迷う人事担当者も少なくありません。本記事では、人材派遣と人材紹介の違いや選び方、適切な利用シーンを解説します。

 

この記事でわかること

  • 契約形態・選考方法・コストの観点から整理した、人材派遣と人材紹介の根本的な違い
  • 短期的な欠員補充から長期的な人材確保まで、目的に応じた人材派遣と人材紹介の最適な利用シーン
  • 対応職種やエリア、実績などを踏まえた、自社に最適な人材サービスを選定するための具体的な判断基準

目次

  1. 人材派遣と人材紹介の違い
    • 契約
    • 人材の選考
    • コスト
  2. 人材派遣の適切な利用シーン
    • 短期的な人材不足を解消したい
    • 即戦力となる人材が必要
    • 少ない工数で人材を確保したい
  3. 人材紹介の適切な利用シーン
    • 長期雇用の人材が必要
    • 専門職の人材を採用したい
    • 管理職候補の人材を採用したい
    • 非公開で採用活動をしたい
  4. 人材派遣・人材紹介サービスの選び方
    • 求めている職種に合うかどうか
    • 自社のエリアに対応しているかどうか
    • 実績が十分かどうか
  5. まとめ

1.人材派遣と人材紹介の違い

人材派遣と人材紹介は名称が似ていますが、サービス内容は大きく異なります。ここでは、契約形態・人材選考・コストの3つの観点から違いを整理していきます。

人材派遣と人材紹介の違い

契約

人材派遣では、派遣先企業と派遣会社の間で「労働者派遣契約」を締結し、その契約に基づいて派遣社員が派遣先企業で労務を提供します。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでおり、派遣先企業との直接的な雇用契約関係はありません。また、労働者派遣法により、同一の組織での派遣受け入れは原則3年までと制限が設けられています。

これに対して、人材紹介では、企業が人材紹介会社と「有料職業紹介契約」を締結し、紹介された候補者と企業が直接雇用契約を結びます。紹介を介した雇用契約自体に法的な期間制限はなく、通常の雇用契約と同様に無期限雇用となるのが一般的です。

人材の選考

人材派遣では、派遣先企業による面接などの選考は法律で禁止されています(労働者派遣法第26条第6項)。派遣先は、必要なスキルや条件を派遣会社に提示し、それをもとに派遣会社が人材を選定します。したがって、企業は個別の候補者を面接して採用の可否を判断することはできません。

一方、人材紹介では、紹介された候補者に対して企業が自由に面接や選考を行い、採否を決定できます。不採用とした場合には、紹介会社が新たに別の候補者を紹介する仕組みです。

コスト

人材派遣を利用する場合、企業は派遣会社に「時間単価 × 実働時間」に基づく料金を支払います。この料金には派遣会社のマージンが含まれ、派遣社員にはその一部が賃金として支払われます。派遣契約が続く限り、コストは毎月発生します。

これに対して、人材紹介では採用が成立した時点で一度だけ紹介手数料が発生します。金額は一般的に「採用者の想定年収 × 手数料率」で算出されます。採用に至らなかった場合、費用は発生しません。

2.人材派遣の適切な利用シーン

人材派遣と人材紹介の違いを踏まえて、人材派遣の利用が適しているシーンを見ていきましょう。

短期的な人材不足を解消したい

普段は人手が足りていても、繁忙期には業務が回らなくなることがあります。そのような一時的な人材不足の際に、人材派遣が利用されるケースは少なくありません。

また、育児休業や介護休業を取得する従業員がいる場合も、人材派遣は有効です。常時の人員を増やさずに、一時的な欠員に対応できます。

即戦力となる人材が必要

新たに人材を育成するには時間やコストがかかります。しかし、すぐに戦力となる人材を求めている企業も少なくありません。

人材派遣では、すでに一定のスキルを持つ人材を受け入れることができます。自社で採用・育成する場合と比べて、教育コストや時間をかけずに戦力として活躍してもらえる点が特徴です。即戦力を必要とする企業に適したサービスといえるでしょう。

少ない工数で人材を確保したい

人材を採用するには、募集要項の作成や応募者の書類審査、面接など、多くの手間と時間がかかります。人材派遣なら、選考は派遣会社が行うため、企業側は必要な条件を伝えるだけで人材を確保できます。

採用活動に十分なリソースを割けない企業や、採用活動が思うように進まない企業にとっても有効な手段です。

3.人材紹介の適切な利用シーン

人材紹介サービスは、どのような場面で利用すると効果的なのでしょうか。代表的なケースを見ていきましょう。

長期雇用の人材が必要

人材紹介は主に正社員採用に適しています。一時的な人材不足の解消ではなく、長期雇用を前提に人材を確保したい場面を想定したサービスです。希望するスキルや経験を紹介会社に伝えることで、それに合致する候補者を絞り込んで紹介してもらえます。定着を図りながら、長期的な人材不足を解消するのに有効です。

専門職の人材を採用したい

専門資格を持つ人材や高度なスキルを必要とする人材は、転職市場において数が限られており、公開求人では応募が集まりにくい傾向があります。一方で、そのような人材は転職時に人材紹介サービスを利用するケースが多いため、専門人材を求める企業は紹介会社を通じて効率的に採用活動を進められます。

管理職候補の人材を採用したい

管理職候補となる人材は、マネジメント経験や実績が求められます。しかし、このような人材は市場に出回る数が少ないため、公募だけで採用するのは難しいのが実情です。人材紹介サービスを利用すれば、マネジメント経験を持つ候補者に出会える可能性が高まり、適切な人材を発見しやすくなります。

非公開で採用活動をしたい

自社で公開求人を行う場合、採用活動の事実が広く知られるため、競合に動向を察知されるリスクや、多数の応募対応に追われる負担が発生します。

その点、人材紹介サービスでは、求人内容は非公開で、登録者の中から条件に合う候補者に対して個別に紹介が行われます。これにより採用担当者の負担が軽減され、競合他社に知られずに採用活動を進めることが可能です。

4.人材派遣・人材紹介サービスの選び方

人材派遣サービスや人材紹介サービスは多くの企業が提供しています。そのため、利用する際には自社に合ったサービスを適切に選択することが重要です。ここでは、選ぶ際に確認しておきたい主なポイントを紹介します。

求めている職種に合うかどうか

人材派遣・人材紹介サービスは、それぞれ対応している職種が異なります。まずは自社が求める職種に対応しているかを確認しましょう。特定の職種や業界に特化しているサービスもあるため、専門職人材を求める場合には特化型のサービスを選ぶ方が適しています。

自社のエリアに対応しているかどうか

全国を対象とするサービスもあれば、特定のエリアに限定したサービスも存在します。基本的には自社の所在地に対応していれば問題ありませんが、判断に迷う場合は全国対応サービスを選ぶと安心です。全国対応型は対象エリアが広いため、候補者の選択肢もより多くなります。

実績が十分かどうか

過去の実績はサービス選択における重要な指標です。取引実績が豊富なサービスは多くの企業から信頼されており、登録者数も多いため希望人材が見つかる可能性が高まります。ただし、単に登録者数が多いだけでなく、登録者の職種やスキルの傾向が自社の求める人材像と合致しているかを確認することが大切です。

5.まとめ

人材派遣と人材紹介は一見似ていますが、契約形態や選考方法、コスト面で大きく異なります。人材派遣は主に、短期的な人材不足を迅速に補いたい場合に活用されます。一方で、人材紹介は、長期雇用を前提とした人材や、専門職・管理職候補を採用したい場合に有効です。自社の状況や採用ニーズに合わせて、適切なサービスを選ぶことが重要になります。さらに、どちらを利用する場合であっても、サービス提供企業の実績や登録人材の数・傾向を確認した上で選定すれば、より効果的な採用活動につながります。

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