

人材派遣と人材紹介はいずれも、人材不足を解消したい企業向けに提供されるサービスです。いずれも自社で求人募集を行うよりも、手間や時間を省いて必要な人材を確保できます。ただし両者の違いが分かりにくく、どちらを利用すべきか迷う人事担当者も少なくありません。本記事では、人材派遣と人材紹介の違いや選び方、適切な利用シーンを解説します。
この記事でわかること
- 契約形態・選考方法・コストの観点から整理した、人材派遣と人材紹介の根本的な違い
- 短期的な欠員補充から長期的な人材確保まで、目的に応じた人材派遣と人材紹介の最適な利用シーン
- 対応職種やエリア、実績などを踏まえた、自社に最適な人材サービスを選定するための具体的な判断基準
目次
- 人材派遣と人材紹介の違い
- 契約
- 人材の選考
- コスト
- 人材派遣の適切な利用シーン
- 短期的な人材不足を解消したい
- 即戦力となる人材が必要
- 少ない工数で人材を確保したい
- 人材紹介の適切な利用シーン
- 長期雇用の人材が必要
- 専門職の人材を採用したい
- 管理職候補の人材を採用したい
- 非公開で採用活動をしたい
- 人材派遣・人材紹介サービスの選び方
- 求めている職種に合うかどうか
- 自社のエリアに対応しているかどうか
- 実績が十分かどうか
- まとめ
1.人材派遣と人材紹介の違い
人材派遣と人材紹介は名称が似ていますが、サービス内容は大きく異なります。ここでは、契約形態・人材選考・コストの3つの観点から違いを整理していきます。

契約
人材派遣では、派遣先企業と派遣会社の間で「労働者派遣契約」を締結し、その契約に基づいて派遣社員が派遣先企業で労務を提供します。派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでおり、派遣先企業との直接的な雇用契約関係はありません。また、労働者派遣法により、同一の組織での派遣受け入れは原則3年までと制限が設けられています。
これに対して、人材紹介では、企業が人材紹介会社と「有料職業紹介契約」を締結し、紹介された候補者と企業が直接雇用契約を結びます。紹介を介した雇用契約自体に法的な期間制限はなく、通常の雇用契約と同様に無期限雇用となるのが一般的です。
人材の選考
人材派遣では、派遣先企業による面接などの選考は法律で禁止されています(労働者派遣法第26条第6項)。派遣先は、必要なスキルや条件を派遣会社に提示し、それをもとに派遣会社が人材を選定します。したがって、企業は個別の候補者を面接して採用の可否を判断することはできません。
一方、人材紹介では、紹介された候補者に対して企業が自由に面接や選考を行い、採否を決定できます。不採用とした場合には、紹介会社が新たに別の候補者を紹介する仕組みです。
コスト
人材派遣を利用する場合、企業は派遣会社に「時間単価 × 実働時間」に基づく料金を支払います。この料金には派遣会社のマージンが含まれ、派遣社員にはその一部が賃金として支払われます。派遣契約が続く限り、コストは毎月発生します。
これに対して、人材紹介では採用が成立した時点で一度だけ紹介手数料が発生します。金額は一般的に「採用者の想定年収 × 手数料率」で算出されます。採用に至らなかった場合、費用は発生しません。