派遣受け入れ期間の制限、期間制限の例外

人材派遣の基礎知識
派遣受け入れ期間の制限、期間制限の例外派遣受け入れ期間の制限、期間制限の例外

目次

  1. 事業所単位の期間制限
  2. 個人単位の期間制限
  3. いわゆる「クーリング期間」について
  4. 派遣受入期間の制限を受けない場合

1.事業所単位の期間制限

事業所単位の期間制限とは、派遣労働者による派遣先の常用労働者の代替防止の観点から、派遣先の同一の事業所内における有期雇用派遣労働者の受け入れについて、期間制限の例外に該当する場合を除いて、3年を上限とするものです(法第40条の2第2項)。

なお、期間制限のカウントの起算点は、2015年9月30日以降、事業所において最初の新法による労働者派遣契約により有期雇用派遣労働者を受け入れた時点となります。
したがって派遣先は、事業所毎に事業所単位の期間制限が異なるケースが出ることに留意が必要です。

また、上限の3年を超えて有期雇用派遣労働者を受け入れたい場合は、過半数労働組合(過半数労働組合がない場合は過半数代表者)から、一定の手続きに則って意見聴取を実施した場合には、更に3年、受け入れを継続することが可能となります。その後も、同様の手続きを経ることにより、更なる受け入れが可能となります。

また、同一事業所内で有期雇用派遣労働者を3ヶ月を超えて受け入れながった場合は受け入れ期間がリセットされます。

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※派遣可能期間を延長した場合でも、個人単位の期間制限を超えて、同一の有期雇用派遣労働者を引き続き同一の組織単位に派遣することはできません。

2.個人単位の期間制限

個人単位の期間制限とは、派遣労働者の固定化防止の観点から、同一の有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣(期間制限の例外に該当する場合を除く)について、同一組織単位への受け入れ期間の上限を最長3年までとするものです (法第40条の3) 。

ただし、この期間制限は組織単位でみるため、他の組織単位での継続した受け入れは可能です。
なお、期間制限のカウントの起算点は、2015年9月30日以降、組織単位内において新法による最初の労働者派遣契約により有期雇用の派遣労働者が就業を開始した時点となります。

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※組織単位を変えれば同一の事業所に引き続き同一の有期雇用派遣労働者を(3年を限度として)派遣することができますが、事業所単位の期間制限による派遣可能期間が延長されていることが前提となります。(この場合でも派遣先は同一の派遣労働者を指名するなどの特定目的行為を行わないようにする必要があります。)

※派遣労働者の従事する業務が変わっても、同一の組織単位内である場合は、派遣期間は通算されます。

「事業所」、「組織単位」の定義

事業所

以下の観点から、実態に即して判断されます。

  • 工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること
  • 経営の単位として人事経理指導監督働き方などがある程度独立していること
  • 施設として一定期間継続するものであること

※雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一です。

組織単位

いわゆる「課」や「グループ」など、

  • 業務としての類似性、関連性があり、
  • 組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有する

ものとして、実態に即して判断されます。

3.いわゆる「クーリング期間」について

事業所単位、個人単位ともに、いわゆるクーリング期間(期間制限の通算期間がリセットされる空白期間)は「3ヶ月超(3ヶ月と1日以上)」です。

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4.派遣受入期間の制限を受けない場合

以下のいずれかに該当する場合は、期間制限の対象外とされています。

  • 派遣元の無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣の場合
  • 60歳以上の派遣労働者に係る労働者派遣の場合
  • 終期が明確な有期プロジェクトに係る労働者派遣の場合
    ※事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって、一定の期間内に完了することが予定されているもの
  • 日数限定業務に係る労働者派遣の場合
    ※その業務が1ヶ月間に行われる日数が、派遣先の通常の労働者の1ヶ月間なのに比し相当程度少なく(半分以下)、かつ1ケ月間に概ね10日以下である業務
  • 産前産後・育児休業、介護休業等の代替業務に係る労働者派遣の場合