契約満了とは?派遣先企業が取るべき対応と注意点を解説

人材派遣の実践
契約満了とは?派遣先企業が取るべき対応と注意点を解説契約満了とは?派遣先企業が取るべき対応と注意点を解説

派遣社員を受け入れている企業では、契約期間が満了する際に適切な対応を取る必要があります。対応を誤ると、法令違反やトラブルの原因となる可能性があるため、十分な注意が求められます。

本記事では、派遣社員の契約満了時に派遣先企業が行うべき対応や注意点、そしてトラブルを未然に防ぐためのポイントについてわかりやすく解説します。

 

この記事でわかること

  • 派遣社員の契約満了とは何か、その基本的な仕組みと契約終了との違い
  • 派遣先企業が契約満了時に守るべき対応や手続きのポイント
  • 3年ルールや雇い止め法理など、契約満了時に注意すべき法的規制とトラブル防止策

目次

  1. 契約満了とは
    • 契約満了になる条件
    • 契約終了との違い
  2. 契約満了時に派遣先企業が守るべきこと
    • 更新の意思確認
    • 派遣元企業への通知
    • 派遣社員の評価
    • 雇い止め理由証明書の発行
  3. 契約満了時の注意点
    • 3年ルール
    • クーリング期間
    • 雇い止め法理
  4. トラブル防止やスムーズな契約満了のために行うべきこと
    • 派遣社員の不満に対する事前対応
    • 派遣元企業との円滑な連携
    • 引き継ぎ業務の計画的な実施
  5. まとめ

1.契約満了とは

契約満了とは、あらかじめ定められた契約期間が終了し、契約が更新されなかった場合に契約が終了することを指します。派遣契約においては、多くの場合、契約期間の終了日をもって契約関係が終了します。ただし、期間が終了しても更新の合意があれば引き続き雇用契約が継続されます。

それでは、どのような場合に契約満了となるか、また「契約終了」との違いについても見ていきましょう。

契約満了とは

契約満了になる条件

派遣社員は派遣元企業と期間の定めがある雇用契約を結びます。定められた契約期間が到来し、契約の更新が行われなかった場合に契約満了となります。更新があればそのまま就業が続きます。

契約を更新しない理由は、派遣社員本人の希望または派遣先企業の都合による場合が大半です。まれに派遣元企業の都合で更新されないこともあります。

契約終了との違い

「契約終了」は「契約満了」と同じ意味で使われることもありますが、厳密には異なります。契約満了は定められた期間の終了によるもの、契約終了(解除)は契約期間の途中で契約を打ち切る場合を指します。

合理的な理由がなければ、派遣先企業や派遣元企業の都合で契約期間中に一方的に契約を終了させることはできません。

2.契約満了時に派遣先企業が守るべきこと

契約満了が近づいた際には、派遣先企業は適切な手続きを円滑に進めることが重要です。以下、契約満了時に派遣先企業が守るべき主なポイントを解説します。

更新の意思確認

契約期間満了の1ヶ月前(目安)までに、派遣先企業は契約を更新する意思があるかどうかを派遣元企業に伝える必要があります。派遣先企業は派遣社員と直接の雇用関係がないため、雇用契約に関わる意思確認は派遣元企業が担当します。派遣元企業が派遣社員に意思確認を行い、その結果をもとに労働者派遣契約が更新されます。

派遣元企業への通知

派遣先企業が契約更新を希望しない場合、契約期間満了による自然終了となり、途中解除に該当しません。ただし、契約を3回以上更新している場合や1年以上継続勤務している場合は、契約満了の30日前までに派遣元企業へ通知する必要があります。通知は早めに行いましょう。

派遣社員の評価

2020年4月施行の労働者派遣法改正により、派遣先企業には派遣社員の勤務態度や職務遂行能力等の人事評価を行い、その情報を派遣元企業へ提供する「配慮義務」が課されました。評価内容は派遣社員の賃金等の決定材料になります。評価基準の認識を事前に派遣元と擦り合わせておくと、適正な反映が期待できます。

雇い止め理由証明書の発行

雇い止め理由証明書は、有期労働契約の更新を行わない場合に派遣社員から求めがあれば、「派遣元企業」が遅滞なく発行する義務があります。派遣先企業が直接作成・発行する義務はありません。ただし、派遣先の事情で満了となった場合は、派遣元から事情をヒアリングされた際に、客観的・具体的な理由を伝える必要があります。

3.契約満了時の注意点

契約期間満了時には、労働者派遣法や労働契約法などの関連法令が密接に関わるため、法令違反やトラブルを防ぐために十分な注意が必要です。以下に、契約満了時に特に意識すべき法的ポイントをまとめます。

3年ルール

いわゆる「3年ルール」とは、労働者派遣法に基づき、派遣社員が同一の事業所や同一の組織単位で就業できる期間が原則として3年と定められている制度です。部署が分かれていても、実質的に同じ組織である場合はこの制限が適用されます。

派遣社員が同じ職場で働き始めてから3年を超える日を「抵触日」と呼び、この日までに派遣元企業は派遣先企業と協議し、契約の終了や受け入れ部署の異動など何らかの対応を取る必要があります。
もし「抵触日」以降も同じ職場で就業を続けさせたい場合は、派遣先企業での直接雇用に切り替えるなどの措置が求められます。

クーリング期間

「クーリング期間」とは、3年ルールの制限が再び適用されるまでに設けなければならない空白期間を指します。具体的には、事業所単位・個人単位ともに「3ヶ月と1日以上」の期間が必要です。この期間を空けることで、再度同じ事業所や部署で派遣社員を受け入れることができるようになります。

ただし、形式的にクーリング期間を設けて同一人物を繰り返し受け入れることは、労働者のキャリア安定やキャリアアップを目的とした法制度の趣旨に反する場合があるため、慎重な運用が求められます。

雇い止め法理

有期労働契約に関わる「雇い止め法理」は、労働契約法第19条で規定されており、契約期間満了時でも労働者に合理的な契約更新期待が認められる場合などには、使用者側の一方的な雇い止めが無効と判断されることがあります。

具体的には、契約の反復更新が行われている場合や、更新の慣行が定着している場合が対象となり、裁判でも個別具体的な事情を踏まえて判断されます。

派遣社員であっても同様の保護が及ぶ可能性があるため、契約更新を行わない場合には、合理的な理由が必要となる場合があることに注意が必要です。

4. トラブル防止やスムーズな契約満了のために行うべきこと

契約期間満了時には、誤解や情報不足によるトラブルが発生し、業務に支障をきたす場合もあります。以下、トラブル防止やスムーズな契約満了のために行うべき主なポイントを解説します。

派遣社員の不満に対する事前対応

契約満了時、派遣社員は「もっと働きたかった」「十分に評価されていない」といった不満を抱きやすいものです。そのため、派遣の仕組み(例:3年ルールなど法律上の派遣期間制限)や契約更新の有無に関する基準を契約開始時から丁寧に伝え、納得を得ておくことが重要です。

また、現場では契約更新を安易に期待させるような発言は控え、派遣社員にはこれまでの貢献に対して感謝の言葉を伝えましょう。適切なコミュニケーションが不満軽減やトラブル防止に繋がります。

派遣元企業との円滑な連携

派遣先企業の都合で契約を満了とする場合は、派遣元企業に対して十分な説明と合意形成が必要です。理由を丁寧に説明し、今後の協力的な関係を維持しましょう。また、派遣元企業への通知は規定の期日よりも余裕をもって行い、必要に応じて情報共有やフィードバックも行うと、トラブル予防に役立ちます。

引き継ぎ業務の計画的な実施

派遣社員が担当していた業務は、新たな派遣社員や自社従業員に引き継ぐことになります。引き継ぎの範囲や内容を事前に整理し、マニュアルやチェックリストを作成しましょう。また、後任者が決定次第、OJT(現場研修)なども含めて段階的に業務移管を進めることがスムーズな引き継ぎにつながります。急な引き継ぎはミスや混乱の元となるため、余裕を持ったスケジュール設定をおすすめします。

5. まとめ

派遣においては、契約期間が満了し更新されない場合に契約が終了します。契約満了時には、派遣元企業との連携のもとで更新の有無を確認し、必要に応じた通知や手続きが求められます。

また、3年ルールや雇い止め法理などの法的ルールを正しく理解し、派遣社員や派遣元企業とのトラブルを防ぐことが重要です。スムーズな引き継ぎや事前準備を行い、円滑な契約終了につなげましょう。

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