

派遣先企業は派遣社員に対する指揮命令権を持ち、同一部署に所属する社員のなかから「指揮命令者」を選任します。派遣社員を迎えるタイミングでは、直属の上司である指揮命令者を中心に自社の業務について教えることになります。
その際に、指導する立場の人間が「怒り」の感情をコントロールできないでいると、派遣社員に大きなストレスを与えてしまい、生産性の低下や早期離職にもつながりかねません。派遣社員とコミュニケーションを深めながら指導・育成するためには、自分の感情とうまく付き合う心理トレーニング「アンガーマネジメント」の習得が有効です。
この記事では、アンガーマネジメントを身につけるメリットやその重要性とともに、怒りの感情をコントロールするための具体的なトレーニング方法をご紹介します。
目次
- アンガーマネジメントとは
- 怒りのメカニズム
- アンガーマネジメントのメリット
- 円滑なコミュニケーション
- パワーハラスメントの防止
- 働きやすい職場環境
- 派遣社員受け入れにあたってアンガーマネジメントが重要な理由
- 派遣社員への教育訓練が義務化
- 怒りの感情が派遣社員に与える影響
- 怒りの6つのタイプ
- 公明正大
- 博学多才
- 威風堂々
- 天真爛漫
- 外柔内剛
- 用心堅固
- 衝動のトレーニング
- カウントバック
- ストップシンキング
- 呼吸リラクゼーション
- コーピングマントラ
- スケールテクニック
- グラウンディング
- タイムアウト
- 思考のトレーニング
- 「許せる」「許せない」
- 行動のトレーニング
- 「変えられる」「変えられない」
- 「重要」「重要でない」
- まとめ
1.アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは「怒り」や「苛立ち」といったネガティブな感情を自分自身でコントロールするスキルのことです。怒ることをマイナスに捉えるのではなく、必要なときだけうまく怒る、そして必要のないときには怒らないようにするためのトレーニングです。
元々は犯罪者の矯正プログラムとして用いられていましたが、近年は教育現場やビジネスシーンなどにも活用の場が広がっており、アンガーマネジメントを社員研修に取り入れる企業も増えています。怒りの感情を自分で管理できるようになれば、社員同士のコミュニケーションが円滑化し、ひいては組織全体の生産性向上につながることが期待されます。

怒りのメカニズム
怒りは、ネガティブな一次感情と、その蓄積である二次感情から構成されます。ネガティブな一次感情とは日常において感じる不安や焦り、辛さ、寂しさなどのことです。これらが積み重なって「~すべき」「~であるべき」という自分の価値観や理想、期待とのギャップが生じたときに、二次感情として「怒り」が現れます。つまり、二次感情の裏には一次感情が存在しており、蓄積されたマイナス感情が大きいほど怒りも大きくなります。